メディカルアロマテラピーの基礎知識

2020.4.26 更新

まずはアロマテラピーの基礎からお話ししていきます。

 

アロマテラピー=天然のもの=からだにいい、というイメージはあながち間違ってはいませんが、天然だから安全、ではありません。

 

使い方によってはお肌に刺激を与えてしまったり、「禁忌(きんき)」といって使ってはいけない場合などがあります。正しい知識を持って楽しむことが必要なのです。

 

メディカルアロマは特に、精油の薬理成分について詳しく学んでいかないといけませんし、使い方によっては逆に体調不良を起こしてしまいますので、注意が必要です。




1.メディカルアロマテラピーとは

アロマAroma=『芳香』、テラピー(セラピー)Therapy=『療法』と訳されています(セラピーは英語読み、テラピーはフランス語読みです)。

 

フランスやドイツなどヨーロッパでは医療の現場でも利用され、 確かに芳香療法としての地位が確立されている側面もあります。

 

イギリスやアメリカではリラクゼーションやヒーリングの目的で使うことが多く、アロマテラピーの楽しみ方は「イギリス式」「フランス式」という区別の仕方もあります。私はイギリス式、フランス式両方を学び、インストラクターとして教えてきました。

 

フランス式アロマテラピーをメディカルアロマテラピーともいいます。イギリス式は良い香りを嗅いでリラックスするという使い方がメインで、フランス式は精油の薬理作用に着目し、もっと科学的に使っていこうというアロマテラピーです。

 

日本では、どちらかというとイギリスのアロマテラピーに近く、美容や健康の増進のために一般家庭でも気軽に楽しめるものとして取り入れられていると思います。

 

ちなみに、精油はヨーロッパでは保険適用されている国もある反面、日本では雑貨扱いという、なんとも相反する取り扱いになっているんですね。

 

アロマテラピーの歴史は古く、こんな名称で呼ばれるず〜っと前から植物の香りは人々の生活や宗教儀式などに取り入れられてきました。(歴史については検定のまとめ「アロマテラピーの歴史」もご覧ください)

 

精油やハーブは毎日の生活を楽しく、豊かにしてくれます。落ち込んだときに元気付けてくれたり、疲れたときにリラックスさせてくれたり、面倒な家事にも大活躍!



2.精油とは

精油は「油」という字が入っていますが、油ではありません。

 

香りは目には見えませんが、主に炭素と水素でできた「有機化合物」です。メディカルアロマテラピーももちろんこの精油を使います。

 

アロマの化学を勉強すると香りの成分構造、特徴などもわかるようになります。

(→「精油の化学」参照)

 

植物の葉、花、枝、木部、樹脂、果実などから抽出した高濃度のエキスだと思って下さい。天然100%のもの、植物から取り出した状態で何も手を加えていないものを精油(エッセンシャルオイル)といいます。

 

よく「アロマオイル」とも呼ばれますが、きちんとしたメーカーだったら精油、もしくはエッセンシャルオイルという名称で売っていると思います。アロマオイルというのは合成香料である場合もあるので注意が必要です。

必ず、

  • 学名
  • 科名
  • 産地
  • 抽出部位
  • 抽出法

が明記されているものを選びます。これが書かれていない精油は合成香料の可能性もあるからです。


3.精油の注意事項

アロマテラピーにはいくつか気をつけなければいけない点がありますが、それを守れば誰でも気軽に楽しめます。

 

使い方をしっかりと知って、安全に使いましょう。

 

 

3-1.原則として直接手で触れない

精油は高濃度に凝縮された植物のエキス。直接肌に触れるとひりひりしたり、赤くなったりすることがあります。

 

精油は水に溶けないという性質があります。私自身も湯船にグレープルーツをたらして入っていたときに、お湯の混ぜ方が足りなかったのでしょう、ひざの裏に精油がついてしまったようで、ひりひり焼けるように痛み、シャワーで洗っても洗ってもしばらく痛かったことがあります。みなさん、くれぐれもご注意を。

 

お風呂に原液で入れてはいけません。塩、蜂蜜、お酒など、乳化剤となるものに混ぜてから入れましょう。

 

もし触れてしまったら、流水で洗い流して下さい。

 

ただし、メディカルアロマでは場合によっては原液を使うことがあります。それはここの精油のページで説明していきますね。

 

>>精油ガイドはこちら。

 

精油は基本的に植物オイルなどに薄めて使います。

 

私はより浸透性を高めるために、水溶性ジェルに溶いて精油を身体に塗ってから、手の滑りを良くするためにオイルを使ってマッサージする、という2段階の方式を使っています。

 

オイルなどで薄める時は、1%の濃度(小さじ1杯のオイルに精油が1滴)と検定などでは習いますが、メディカルアロマテラピーでは10%以上の濃度で使うこともあります。

 

私は、普段セルフマッサージなどをする場合は、3〜5%くらいの濃度で使っています。

 

 

3-2.保管場所に気をつける

湿気の多いところ、高温の場所においておくと精油が劣化します。

 

お風呂場など、湿度・温度ともに高いところは保管場所としては不適格ですね。

 

柑橘系などの揮発しやすい精油は、未開封でも長期間放置すると蒸発してしまいます。

 

以前、マンダリン精油を買って、買ったことを半年以上忘れていたところ、いざ使ってみようと開けてみたら、中身がほとんどなくなっていました。未開封なら大丈夫、と思い込んでいたので驚きました。


3-3.偽物を購入しないこと

信頼できるメーカーの精油は、学名、産地、抽出法などが必ず明記されています。

 

それらがない『ポプリオイル』『アロマオイル』などは気をつけて。精油ではない場合があります。


芳香剤として使うものであり、からだに直接塗布したりできるものではありませんので、購入の際は、『精油』であることを確かめてから買うようにしてください。

 

 

3-4.体の不調について素人判断をしないこと

精油は薬ではありませんし、メディカルアロマテラピーは医療ではありません。

 

病気を治すことは出来ないので、病気の時にはかならず医師の診断を受けることが必要です。

 

いくらこの精油は○○に効果がある、などと本に書いてあっても素人判断は危険です。体調が悪いときにはまず休み、栄養をよくとり、それでも治らないときには医師の判断を仰いでください。

 

 


3-5.子供やお年寄りには濃度に注意

子供やお年寄りなど抵抗力の弱い人に精油を使うときには、濃度に注意しましょう。

 

とくに、芳香族アルデヒド類、フェノール類など刺激の強い芳香成分を含む精油については注意が必要です。

 

香りが好き、というだけで選ぶのは危険なこともありますのでご注意を。 やはり、最初は専門家に聞いて下さい。

 

子どもが小さい時には、バスソルトや芳香浴などで楽しんでいました。

 

トリートメントもたまに行いますが、濃度や回数に関しては注意しています。

 


3-6.妊婦さんには注意

精油が原因で妊娠中の事故が起きたという話は、私自身聞いたことはありませんが、妊娠中はお肌も嗅覚も敏感になっています。

 

ホルモンのバランスを整えるものや子宮強壮作用があるものについては使わないほうが無難です。  

 

私も妊娠中には芳香浴のみにしていました。

 

もちろん、つわり中はそれすら受け付けませんでしたが。

 

大好きなグレープフルーツの香りですら気持ちが悪くなったので、妊娠中はいつも好きな香りでもダメになることがあります。

 


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