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5大栄養素、異化作用、同化作用、脂質、糖質、タンパク質、必須アミノ酸、単純性肥満、症候性肥満、内臓脂肪型肥満、皮下脂肪型肥満、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、ミネラル、食物繊維、
1 糖質
脳や神経細胞の唯一のエネルギー源となる。
◎単糖類( ブドウ糖(グルコース))
◎二糖類(単糖類が2個結合したもの)
◎多糖類(単糖類が複数結合したもの)
食事で取り入れられた糖類は、体内で分解され最終的にはすべてブドウ糖(単糖類)となる。そして全身に運ばれ、エネルギーとして利用されたあと、余ったブドウ糖は肝臓や筋肉で「グリコーゲン(多糖類)」として蓄積される。
蓄えられたグリコーゲンは必要に応じてブドウ糖として利用されるが、身体に蓄えられるグリコーゲンの量には限りがあるため、余った分はすべて「中性脂肪」となる。
1日の総エネルギーのうち50~60%を糖質から摂取するのが望ましいとされている。
2 脂質
トリグリセリド(中性脂肪)、コレステロール、リン脂質からなる脂肪酸。細胞膜やホルモンなどの構成成分となる。1日の総エネルギーのうち20~25%を脂質から摂取するのが望ましい。
★必須脂肪酸
体内で合成できない脂肪酸のことで、植物油にはリノール酸、リノレン酸などが、魚油にはDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などが含まれてる。摂取割合は、動物性脂肪:植物性脂肪=1:2~1が理想です。
3 タンパク質
タンパク質とは、数十~数千のアミノ酸が結合してできた有機化合物。血や肉など体を構成する主成分となるエネルギー源で、ホルモンや各種の酵素の成分となる。体に取り入れられたタンパク質はアミノ酸に分解され再度タンパク質を合成し身体の成分に作りかえられるが、約20種類あるアミノ酸のうち、9種類は体内で合成されないため食物から取る必要があります。この9種類を必須アミノ酸という。タンパク質を合成するには一定量のアミノ酸が必要で、不足すると発育障害や抵抗力の低下等がみられることもある。1日80g摂取する。
★必須アミノ酸
メチオニン、フェニルアラニン、リジン、トリプトファン、イソロイシン、ロイシン、バリン、スレオニン、ヒスチジンの9種類。成人の場合は、ヒスチジンを除く9種類。
4 ビタミン
他の栄養素の働きを助け、身体の調子を整える。現在認められているビタミンは13種類で、必要量は微量だが、ほとんど体内で合成することが出来ないため、食物から摂取することが必要である。
[水溶性ビタミン]ビタミンB1、B2、B6、B12、C、葉酸、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸
[脂溶性ビタミン]ビタミンA、D、E、K
ビタミンの働きは、タンパク質や脂質がエネルギーに代わる時、または、筋肉や皮膚などの身体の構成成分に変わる時などに転換の手助けをすること。
○ビタミンA
レチノールともいう。β−カロテンは体内でビタミンAに変換。皮膚や粘膜の形成。
○ビタミンD
カルシウムとリンの吸収を助ける。骨の代謝、発育には不可欠。紫外線を浴びることにより皮膚で合成される。
○ビタミンE
抗酸化作用あり。過酸化脂質の生成を抑制する。
○ビタミンK
血液凝固作用
○ビタミンC
コラーゲン生成、メラニンの生成を抑制。鉄や銅の吸収を助け、ヘモグロビンの合成を行う。欠乏すると壊血病の危険がある。
○ビタミンB1
糖の代謝、エネルギー産生に関わる。欠乏すると脚気や浮腫を引き起こす。
○ビタミンB2
脂質とタンパク質のエネルギー代謝を助け、皮膚や口内の粘膜を保護する。爪や髪の成長を助ける。欠乏すると、口角炎、口内炎、成長障害を引き起こす。
○ビタミンB6
神経伝達物質の合成、ヘモグロビンの合成、抗アレルギー作用。欠乏すると貧血、皮膚炎、口内炎を引き起こす。
○ビタミンB12
タンパク質の代謝、葉酸とともに赤血球の合成を助ける。欠乏すると悪性貧血、神経障害を引き起こす。
○葉酸
ビタミン12とともに赤血球の合成を助ける。タンパク質や核酸(DNA、RNA)の合成に関わる。胎児、乳幼児の発育を促すので、妊産婦は積極的に摂りたい栄養素。
○パントテン酸
副腎皮質ホルモンの合成を助ける。
○ビオチン
ビタミンH。ヒスタミンの増加を抑える。
○ナイアシン
ビタミンB3。ニコチン酸、ニコチン酸アミドの総称。トリプトファンからも合成される。
5 ミネラル
体内で合成されない微量元素で、身体の機能を調節する。骨や歯、細胞膜などの構成成分となっており、人体の5%は無機質からできている。
⇔有機質:酸素、炭素、水素、窒素を含む化合物。人体の95%は有機質。
必要量は微量なので、通常バランスの取れた食事をしていればそれほど欠乏することはないが、日本人はカルシウムと鉄が不足気味。鉄分の不足は貧血に、カルシウムの欠乏は骨粗鬆症の原因となる。
○カルシウム
歯や骨を形成する。神経の興奮抑制と精神安定作用がある。
○リン
カルシウムやマグネシウムと結合して骨や歯を形成する。ATPなどの高エネルギーリン酸化合物を作り、エネルギーを蓄える。過剰摂取に注意。
○カリウム
血圧を正常に保つ。ナトリウムとともに生体の浸透圧の調整を行う。
○ナトリウム
細胞外液に存在する。
○マグネシウム
骨や歯の形成。体内の酵素の働きを助ける。
○ヨウ素
ヨード。甲状腺ホルモンの成分。
○亜鉛
不足すると味覚、嗅覚障害をきたす。
6 食物繊維
直接エネルギー源や身体の構成成分にはならないが、体内でいろいろな働きをするため、第6の栄養素といわれている。食物繊維は多糖類に分類される。
○水溶性食物繊維・・・果物のペクチン、昆布・わかめのアルギン酸、
もずくのフコイダンなど。
糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑える。
(脂質異常症、糖尿病などの予防)
○不溶性食物繊維・・・未熟果のペクチン、キノコ類のグルカンなど。
胃や腸で水分を吸収してかさを増し、食べ過ぎを抑える。
腸を刺激して蠕動運動を活発にして便通を促す。
7 栄養その他
【消化酵素】
・アミラーゼ=糖質を分解する。唾液に含まれる。
・リパーゼ=脂肪を分解する。胆汁に含まれる。
・ペプシン=タンパク質を分解する。塩酸、粘液が主成分。