*アロマテラピーの歴史*

**キーワード**

 

ヒポクラテス、医学の父、アリストテレス、テオフラストス、古代ギリシャ、古代ローマ、アレキサンダー大王、ヘレニズム文化、アーユルヴェーダ、東方三賢人、ナルドの香油、ソロモン王とシバの女王、ディオスコリデス、皇帝ネロ、プリニウス、ガレノス、コールドクリーム、神農本草経、イブン・シーナ、サレルノ医科大学、十字軍、ハンガリアンウォーター、ジョン・ジェラード、ジョン・パーキンソン、ニコラス・カルペパー、フェミニス、ガッティとカヨラ、シャーリー・プライス、ロバート・ティスランド、パオロ・ロベスティ、ジャン・バルネ、鳥居鎮夫


【古代の重要人物・事項】

 

○ヒポクラテス(BC460〜377)

 古代ギリシャの医師。医学の父呪術的手法を退けた。マッサージの重要性を説き、その効用・効果を医療の手法や健康法に用いた。

 『ヒポクラテス全集』(紀元前3世紀にアレキサンドリアの学者によって編さん)

 

○アリストテレス(BC384〜322)

 古代ギリシャの哲学者。プラトンの弟子でアレキサンダー大王の家庭教師。火・気・水・土の「四元素説」。

 

○テオフラストス(BC377〜287)

 古代ギリシャの哲学者。アリストテレスの弟子。著書『植物誌』。植物学の祖

 

○アレキサンダー大王(BC356〜323)

 アレクサンドロス3世ともいう。東方遠征。東西交易。マケドニアの王でアリストテレスに学ぶ。32歳でバビロンで病死。

 

○ヘレニズム文化

 アレキサンダー大王の東方遠征によってギリシャとオリエント文化が影響し合って生まれた文化。東西のハーブやスパイスの交易が盛んになった。

 

○アーユルヴェーダ(BC1200〜1000)

 インドの伝統療法で宇宙観、自然観を含む哲学でもある。世界最古の医哲学。『リグ・ヴェーダ』はインドの自然神を崇拝し、その神々に捧げた賛歌集。「スシュルタ・サンヒター」は外科的考察にすぐれ「チャラカ・サンヒター」は内科的考察に優れる。ヴァータ、ピッタ、カッパの3つのドーシャ説(ドーシャとは低質・生命エネルギーのこと)。

 

○東方三賢人

 イエス・キリスト生誕時、馬屋を訪ねた三賢人は、乳香(フランキンセンス)、没薬(ミルラ)、黄金を捧げた(新約聖書より)。乳香と没薬は神の薬、黄金は現世の王を象徴するとされる。

 

○ナルドの香油

 イエスの処刑時に足を清めたとされる香油。チベット地方に生息するスパイクナルドという植物の浸剤であったといわれている。

 

○ソロモン王とシバの女王

 シバの女王(在位紀元前10C頃)が賢者として名高いイスラエルのソロモン王(在位紀元前965〜925)の博識を確かめようと宝物を携えて訪れる。この宝物は黄金、宝石、乳香、白檀(サンダルウッド)などであった(旧約聖書より)。

 

 

【紀元後〜現代】

 

○ディオスコリデス(40〜90)

 古代ローマの医師。皇帝ネロ時代のローマ帝国軍医。『薬物誌(マテリア・メディカ)』を著す。現存するのは512年ビザンツ帝国の皇女に献上されたウィーン写本

 

○皇帝ネロ(37〜68)

 暴君として有名。バラ好き。公衆浴場の建設。

 

○プリニウス(23〜79)

 古代ローマの博物学者。著書『博物誌』(全37巻)。

 

○ガレノス(122〜199)

 古代ローマの医師。ヒポクラテス医学を基礎とし、アラビア医学にも絶大な影響を与える。動物の解剖コールドクリームの創始者。

 

○神農本草経(2C〜3C)

 漢時代の中国最古の本草書。漢方・薬学の本。マテリア・メディカと並ぶ東洋の薬学書。神農とは農業の祖神。

 

○カラカラ浴場(216)

 ローマの公衆浴場。1600人収容。

 

○イブン・シーナ(980〜1037)

 アビケンナ、アビセンナ、アウィケンナともいう。アラビアの哲学者、医学者。ユナニ医学(アラビア語圏で発展したギリシャ医学)の大成者。著書『医学典範(カノン)』。精油蒸留法の確立。

 

○サレルノ医科大学(1050)

 南イタリアのサレルノに設立。「ヒポクラテスの町」と呼ばれる。『サレルノ養生訓』(衛生学の文献・詩の形式)

 

○僧院医学(中世)

 教会や僧院で行われていた薬草中心の医学。

 

○十字軍(1095〜1291)

 聖地エルサレムの奪還が目的。地中海の文化交流を促進。ハーブ、スパイス、アラビア医学、精油の蒸留法が西欧に伝わる。

 

○ハンガリアンウォーター(1320)

 ハンガリー王妃の水。エリザベート1世の手足が痛む病気の治療のため修道院の僧侶が献上した痛み止めの薬。ローズマリーを使用。若返りの水として有名。

 

○大航海時代(1380〜1600)

 西欧諸国が肉の保存や味付けに使うスパイスを求め、インド、アジア、アメリカ大陸などへ新航路を開拓。

 

○ジョン・ジェラード(1545〜1611)

 著書『本草あるいは一般の植物誌』。イギリスのハーバリスト。ロンドンのホルボーンに薬草園を開く。ハーブ医学の発展を担う。

 

○ジョン・パーキンソン

 著書『広範囲の本草書』←大西洋を渡った書。チャールズ1世に仕えたイギリスのハーバリスト。

 

○ニコラス・カルペパー(1616〜1654)

 著書『The English Physicians』。イギリスの医師。医学書を英訳。占星術師でもある。

 

○フェミニス(17C)

 イタリアの理髪師。ドイツの町ケルンで作った「オーアドミラブル(すばらしい水)」がケルンの水と呼ばれるようになる。後にオーデコロンとして香水にもなり、胃薬としても使用された。ケルンの水はアルコールが使われている。

 

○ルネ・モーリス・ガットフォセ(1881〜1950)

 フランスの化学者。火傷の治療にラベンダー精油を使用。”アロマテラピー”は彼の造語。『Aromathrapie』(1937年)

 

○マルグリット・モーリー(1895〜1968)

 オーストリア出身の生化学者。精油を植物油に希釈してマッサージをする方法を考案。イギリスにおけるホリスティックアロマテラピーの基礎を作る。『Le capital-Jeunesse(最も大切なもの・・・若さ)』(1962年)。シデスコ賞を受賞。

 

○ガッティとカヨラ(1920〜1930代)

 イタリアの医師。精油の心理作用やスキンケアへの応用を研究。

○シャーリー・プライス

 イギリスのアロマセラピスト。

 

○ロバート・ティスランド

 イギリスのアロマセラピスト。著書『The Art of AROMATHERAPY(アロマテラピー<芳香療法>の理論と実際)』

 

○パオロ・ロベスティ(1970代)

 ミラノの植物誘導体研究所所長。柑橘系精油が神経症やうつに有効なことを示す。世界初、香りの精神科の臨床例。

 

○ジャン・バルネ(1920〜1995)

 フランスの軍医。第2次世界大戦に従軍。インドシナ戦争では精油を芳香薬剤として利用し負傷者を手当。著書『AROMATHERAPY』(1964年)。フランスのメディカルアロマテラピーの基礎を作る。科学的領域にとどまる。

 

○鳥居鎮夫

 随伴性陰性変動(CNV波・次に予想される事態を注意して待つ時などに出る特殊な脳波)、興奮作用と鎮静作用の研究