*基材論*

**キーワード**

 

 飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、グリセリン、クエン酸、重曹、クレイ、ミツロウ、浸出油、キャリアオイル

 


**覚えるポイント**

 1 脂肪酸とは

 油脂の主成分であり、脂肪族炭化水素にカルボキシル基がついている。

 

2 飽和脂肪酸

 二重結合なし。炭素が水素で満たされて結合している状態。

 カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミスチリン酸

 

3 不飽和脂肪酸

 二重結合があり、常温で液体のもの。二重結合が多いほど酸化しやすい。

 

○単価不飽和脂肪酸

 二重結合がひとつ。パルミトレイン酸、オレイン酸。

 血中コレステロールを下げる。

 

○多価不飽和脂肪酸

 二重結合が2つ以上。

 アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)。

 

★アラキドン酸の変化過程★

 リノール酸→γ-リノレン酸→アラキドン酸

 

★DHAの変化過程★

 α-リノレン酸→EPA→DHA

 

4 キャリアオイル

 キャリアオイルは精油よりも分子量が大きい。キャリア=運ぶという意味。

 

○イブニングプリムローズ油

 月見草油。種子を常温搾り。アカバナ科。γ-リノレン酸。非常に酸化しやすい。単品よりは他のオイルとブレンドして(10%程度)使う。

○グレープシード油

 ブドウ科。種子から採られる。

○セサミ油

 ごま油。ゴマ科。セサモール、セサミン。

○スイートアーモンド油

 扁桃油。バラ科。

○アボカド油

 ワニナシ油。クスノキ科。果肉から採られる。未精製のものは緑がかっている。

○オリーブ油

 モクセイ科。果肉から採られる。オレイン酸。皮膚への浸透がよい。

○カメリア油

 椿油。ツバキ科。オレイン酸。

○マカデミアナッツ油

 ヤマモガシ科。オレイン酸、パルミトレイン酸。

○ココナッツ油

 ヤシ油。ヤシ科。飽和脂肪酸。常温で個体。植物脂。

○ウィートジャーム油

 小麦胚芽油。イネ科。胚芽から採られる。ビタミンE(トコフェロール)。酸化防止剤。琥珀色で粘性が高い。

○ホホバ油

 ツゲ科。植物ロウ(液体ワックス)=油脂ではない。低温で固まる。砂漠地帯に育つ。

○植物性スクワラン

 オリーブスクワラン。モクセイ科。飽和炭化水素。無色、無臭。10℃以下でも固まらない。

 

 

5 キャリアオイルの役割

 

 ①精油を希釈する。

 ②精油成分を経皮吸収させる(ただし、オイルの浸透は表皮の角質層まで)。

 ③肌を軟化させる。

 ④肌に油分やビタミンの供給をする。

 ⑤精油の揮発性を抑え、より長く表面にとどめる。

 

6 その他基剤

 ○精製水

 不純物のない、純度の高い水。水道水には塩素などが含まれているので、アロマテラピーではあまり使用しない。

○芳香蒸留水

 フローラルウォーターともいう。水蒸気蒸留法により精油を製造する時に得られる水。水溶性の芳香成分が溶け込んでいる。クレイパックに使ったり、そのまま化粧水として利用する。

○アルコール(エタノール)

 無水エタノール、消毒用エタノール、ウォッカなど。エタノールは薬局で購入できる。精油を溶かす他、容器の洗浄、消毒などにも使う。精油はアルコールに溶けるので、アルコールと混ぜてよく溶かしてから水を加えてローションなどを作る。その際、白濁するものもある。

○ミツロウ

 蜜蜂が巣を作る時に分泌するワックス。ロウに分類されるので油脂ではない。融点は63度くらい。古代エジプトでも利用されていたという記録があるほど歴史の古いもので、アロマテラピーでは軟膏やクリームを作るのに利用する。保香効果もあるので練り香水などにも使われる。

○クレイ

 鉱物を主成分とする粘土(鉱物、ケイ素)でカオリン、モンモリロナイトなどがある。吸収・吸着・洗浄作用がありパック材などに使う。

○グリセリン

 脂肪や油脂から加水分解して取れる、粘性のある無色透明の液体。保湿作用や天然の界面活性作用がある。化粧水などを作る時に使う。

○塩、重曹(炭酸水素ナトリウム)、クエン酸

 天然塩(海塩、岩塩)にはミネラルが含まれていて発汗作用があり、体内の毒素を排出する。重曹は皮膚の柔軟・洗浄作用があり皮膚を滑らかにする。クエン酸は果実などに含まれる有機酸のひとつで強い酸性を示す。無臭。

 重曹+クエン酸=発泡バスソルトを作ることができる。

○蜂蜜

 保湿、皮膚の炎症を鎮めるので、入浴剤やパックの基材として使う。